私たちのこだわり

米、水、麹、心意気。
ただ良い酒を、340年。

延宝元年(1673)年、玉乃光は生まれました。
340年。まじめに、まじめに、去年よりも良い酒をという思いで、
日本酒を造りつづけてきました。
派手な酒ではありません。今風の流行とも無縁です。
目指したのは、飽きのこない酒。食事を引き立てる定番。
ただそれだけのために、米の品種はもちろん、
田植えの仕方にまでこだわり、
業界に先駆け、「純米酒」を復活させました。
玉乃光の日本酒は、米と水と麹。
そして、時代に左右されずに、
ただ良い酒をつくるという心意気だけで、造られています。

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利益より、酒本来の味わいを。
1964年、いちはやく
「純米酒」を復活させました。

米と米麹だけで造られる酒を、「純米酒」と言います。日本酒はそもそも米から造られるのですから、わざわざ純米酒と呼ぶことを、不思議に思うかもしれません。
けれども長い間、日本酒は米以外のアルコールを添加し、増量したものが主流でした。
戦争中は米不足のため、戦後はメーカーの利益のために。いまも実に8割が、アルコールを添加した酒(アル添酒)です。
薄くなった味わいを補うために、糖類や酸味料などを加える。それが、日本酒の「ベタベタした甘さ」や「悪酔い」などのイメージを形成してしまいました。
1964年、玉乃光は業界に先駆けて純米酒を復活させました。アル添酒に比べて、最大1.8倍もの米が必要な、純米酒。当然コストはかさみ、その分価格を上げれば、売れなくなってしまう。まだ純米酒への理解も低い時代、まさに苦労の連続でした。
それでも、平安時代からつづく「米だけで造る酒」こそが、本来の日本酒であると信じて、今日も玉乃光では、純米酒だけを醸しつづけています。

米の品種はもちろん、田植えの
仕方にまでこだわります。

玉乃光は米と水と麹だけで造る酒ですから、米へのこだわりは、並大抵ではありません。日本酒の原料に酒造好適米(酒造りに適した米)が使われている割合は市場の5%と言われる中で、米の品種にこだわります。
玉乃光が扱うのは、かつて幻の酒米と言われた「備前雄町(びぜんおまち)」、酒米の横綱との呼び声高い「山田錦(やまだにしき)」、そして、京都で生まれた高級酒米「祝(いわい)」など。
毎年春になると、原料米の生産地へ赴き、社員自ら長靴に履き替え、農家の田植えにも立ち会います。
「苗を密生させると、品質が悪化するから」と、苗の間隔にまで気を使っています。
収穫された米は、生産者別に水分やタンパク質の比率などを調査し、独自の厳しい基準に満たない米は、決して使いません。

米を磨くほど、 酒の旨味は
洗練されていく。
精米作業も自分たちで。

ふだん口にするお米と同じように、酒米も玄米の状態から削りをかけ、精米作業を行います。米粒の外側を削ることを「磨く」と表現しますが、磨けば磨くほど、雑味やくどさは消え、酒の旨味は洗練されていきます。
私たちはこの精米作業もできるかぎり自分たちで行っています。専用のローラーを使い、ゆっくり丁寧に磨き、脂肪やタンパク質を削り取る。精密な作業を約30時間から48時間ほどかけて行います。米粒の40%以上を削るものを「吟醸酒(ぎんじょうしゅ)」。50%以上も削ってしまうものを「大吟醸酒」と呼びますが、玉乃光が造る日本酒は、純米吟醸酒と純米大吟醸酒だけ。純米吟醸酒が市場のたった5%であることを考えても、決して効率的なやり方とは言えないかもしれませんが、私たちが信じる、本当の酒造りです。

豊臣秀吉ゆかりの「伏し水」。
土地の恵みで醸します。

京都伏見は、「伏し水」が語源と言われるほど、地下水に恵まれた地。
玉乃光では、酒米を洗い、蒸して、酛(もと)を造り、醪(もろみ)に使用する水すべて、桃山丘陵を水源とする伏し水です。
古くは、豊臣秀吉が醍醐の茶会の際に汲み上げたとされる御香水(ごこうすい)と同じ伏流水で、現在は環境省選定の「日本名水百選」に選ばれている名水。
米や麹にとことんこだわる玉乃光ですが、水に関しては、豊かな土地の恵みにただただ感謝するばかりです。

こうじは生き物です。
だから、麹造りも人の手で。

麹菌を振りかけて造る米麹は、酒造りの最も大切な工程。
玉乃光では、この米麹造りも、すべて人の手で行います。
蒸した米に、杜氏の長年の経験と勘によって、麹菌が振りかけられる。
実際に手で触れて、麹菌が増殖しやすい温度を常に保ち、揉みほぐして麹菌の活躍を促します。麹は文字通り生き物です。
昼夜を問わず、大事に大事に育て上げます。約2日間かけて、製麹室(せいきくしつ)では甘い栗のような香りがただよい、玉乃光の米麹が誕生します。

純米吟醸の蔵、玉乃光。

1964年、
玉乃光が純米酒を復活させてから、半世紀。
いま、純米や吟醸の良さはよく知られる
ところとなりました。
それでも、純米吟醸と純米大吟醸だけを
造りつづける蔵は、日本中を見渡しても、
ほとんど例がありません。
私たちは全国でも珍しい「純米吟醸蔵」として、
ここ京都伏見の地で、
昔ながらの伝統的なやり方で、
ただ良い酒をこれからも造りつづけます。

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