★大手町ビル雄町店
東京都千代田区大手町。日本経済の中枢を成すビジネス街の地下に「雄町店」はある。会社員が杯を酌み交わす風景は今も昔も変わらない。「昭和40年代、日本が元気だった時代にサラリーマンの胃袋を満たし、宴を支えた」。筑波喜久店長は誇らしげに歴史を語る一方、いち早く都心に出店した宇治田会長の「先見の明」に感心する。「醸し続けて三百年余 この静かなたたずまいの中で 純米吟醸酒 玉乃光が生まれる」。店内に掲げられた言葉に、喧噪を忘れさせてくれるような悠々とした時の流れを感じる。雄町店はサラリーマン達にとって、故郷へ思いを馳せることができる、どこか懐かしい都心のオアシスのような存在になっている。
「山菜のタラの芽天ぷら」「肉豆腐」から「じゃがチーズ陶板焼き」や「キムチ豆腐鍋」までバラエティーに富ぶメニューが並ぶ。上司と部下が一緒に来ても両世代が楽しめる構成となった。これらのメニューは時代によって柔軟に変えるそうで、「チョリソーとキャベツの陶板焼き」も新メニューとして登場したばかり。変化を経ていい物だけが定番メニューとして引き継がれる。
また、ランチの定番は「豚汁セット」。大手町界隈ではすっかりランチの定番となった。ほかに日替わり定食、新鮮なマグロ、カツオ、タコを乗せた刺身丼やマグロ丼も人気。ちなみに開店から午前11時半までの30分だけ注文できる「早割ランチ」は800円で財布にも優しい。
◇からし明太子玉子焼き
人気の定番メニュー。玉子を3個使いボリューム満点。箸で玉子を割ると、トロリと半熟の黄身が溶け出す。中から現れた明太子をほぐすと黄色とピンクが混ざって見た目も春らしい。辛し明太子の辛さが卵の甘さが絡み合い楽しい。「酒好きにはたまらない旨さ」と筑波店長が勧める「山杯」と合わせていただきたい。
◇京風湯豆腐
1人で食べるにちょうどいいサイズの鍋に木綿豆腐が浮かぶ。上品に味付けされただし汁にとろろ昆布の深みが加わる。このままでも飲み干せそうな京風湯豆腐はシンプルな逸品だ。豆腐の8割は水でできているため、他の食材に影響を受けない最小の具材が粋だ。豆腐は名古屋の丸文から取り寄せる。京都・南禅寺参道には豆腐料理屋が軒を連ねるが、東京の都心でも京都にいる気持ちでいただきたい。それを演出するのが、玉乃光の酒だろうか。
◇豚と厚揚げの煮物
豚の旨みたっぷりのロース部位を厚揚げ、里芋、にんじんと甘辛く煮炊いた逸品。日本料理でもっとも難しいと言われる煮物だが、特に関東ではうま煮(甘煮)と言うだしと材料に砂糖を加えて煮て、後から醤油を加える煮方がある。ここに、とろとろのあんかけを絡めた。あえて薄い味付けにして、素材の旨みを生かした。野菜のうま味がじんわり漂う。わさびを添えていただくと、豚脂身の甘さと絡み合って口の中に余韻が残る。「微妙な味をたん能するには焼酎・屋久杉がいい」と筑波店長。ぜひ頼みたいメニューだ。
東京都千代田区大手町1-6-1
大手町ビル B2階
夜16:30~22:00
土曜日は昼のみ営業










