★八重洲地下街店
首都の玄関・東京駅の地下に「八重洲地下街店」はある。中山薫店長によると、出張帰りの会社員が新幹線乗車前に立ち寄るケース、近所の会社から自宅へ帰る前のサラリーマンの宴に使われるケースが多いと言う。家に帰る前に会社員が憩うスペース、それが八重洲地下街店と言えそうだ。
96(カウンター6)ある客席は午後6時を待たず背広姿の会社員が訪れる。原口肇料理長は客からの注文を受けて調理を開始する。慌ただしい居酒屋の喧噪ではなく、落ち着いた大人の雰囲気が漂うのが特徴だろう。1杯目から「純米吟醸雄町」を注文する客も目立つ。100%お米の酒なので2日酔いしないことを常連は知っている。冷やでも燗でも変わらず旨いので、肴を飲みたい酒の種類に合わせて注文するようだ。
例えば冷えた雄町を飲みたい客は「初カツオ炙りと築地の刺身盛り合わせ」や「ホタルイカの生姜醤油漬け」を頼む。ボトルを頼んだ客は、ボリューム満点の名物「ジャンボ肉シューマイ」をオーダー。「京の光」には「ネギ豚チャーシュー」といったふうに客それぞれの組み合わせがある。なので原口店長に人気メニューを尋ねても、限定できないとの返答。「お客さんそれぞれのお気に入りがすでにありますか ら」。あえて挙げるなら「旬のもの」と言う。季節を意識した料理が京風の特徴の1つとして、都心でもその心意気は継承される。
◇特製だし巻き玉子
黄金の絹のような美しい「だし巻き」が運ばれた。厚めに巻かれた卵を6キレに切り分けた。薄い味付けが卵本来の風味を生かしている。少年時代に食べた、どこか懐かしく優しい味を思い出す。醤油をかけるのもいいが、せっかくだからそのままで、ホクホクと味わいたい。
◇つぶ貝と山ウドの木の芽和え
ウドはウドでも山ウドの木の芽和えとは恐れ入った。こちら珍しい東京特産の野菜として知られるが、軟白ウドとは違い、芽の先が緑色で美しい。特に、春に発芽して出荷される春ウドは、香りが良く、軟らかいと珍重される。特有のほろ苦さを、磯の香りが包み込む。旬のつぶ貝のコリコリした食感が何とも心地よい。
八重洲地下街店は「産地直送品」にも力を入れている。「真いかの沖漬け」は北海道・函館から、「昆布の柔らか煮」も北海道・尾札布昆布を使用。「揚げかまぼこ」は沖縄からで、各420円と財布にも優しい。「生湯葉の刺身」(630円)は京都から。「小鯛の笹漬け」(740円)は、福井・若狭小浜。「馬刺」(840円)は熊本産のもも肉にこだわった。全国の味覚を楽しめるのは何とも「東京駅」らしい。
ほかにも「まぐろネギマ鍋」、「鮭の白子と黄ニラ」など珍しい逸品から「焼き鳥の盛り合わせ」まで、メニューもバラエティーに富む。「焼き鳥」は、モモ、胸、レバーの3本セットが580円、砂肝とつくねも付いた5本セットが1020円だ。また豚バラ、アスパラ巻も選べる。会社員の定番の肴だろう。ランチメニューは7種類でこちらも評判が高い。
東京都中央区八重洲2-1
八重洲地下街南1号
(土日祝~21:00)










